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INTERSTELLAR


10代から20代の頃にかけて観たSF映画では、その映画の中の「現在」と言うのはその時自分が在た「現在」とは全く様子が違い、それは少々突飛過ぎるとも思えるような状況設定のものが多かったような気がします。「2001年宇宙の旅」はSF映画の金字塔ですが、今は2001年をゆうに15年も超えているのだけど、その時の未来と今の現在で一致している要素は少ないと思う。想像しうる範囲での時代考証みたいなものはあったのだろうけど、神羅万象の自然(ひいては物理の)摂理との整合性はあまりなかったのではないかと思うのだけど、ここ最近は現実に(ながい時間をかけてですが)明らかにされつつある理論を基に科学的考証を行い、「ゆくゆくはまんざらフィクションではなくなるのかも」という体のものが多いですね。それは偏に、より多くの事が理論的に解明され、かつその一部は実践され、SF映画もそれを踏まえて作られるようになって、昔のように映画の中の世界が現実の現在と点と点との関係ではなくなってきたからなのかも知れません。 空想と想像という言葉に微妙な違いがあるとしたら、そんな感じです。想像というのは、現実に起こる可能性があることを想定できるものに当てはまめる事ができる言葉だからです。
インターステラーの中の現実世界が今の現在を少しだけ飛躍させたような設定で、その状況は今の自分のいる世の中の延長線上、線で繋がっているように感じられ、懐疑的になってしまうような違和感はありません。地球にはまだ土があり、植物があり、異常気象で雨が降らなくなってしまっていますが、人間は出来る限りの知恵で何とかぎりぎりその存在を存続させています。食糧難で国家予算をNASAにかけるのよりも食物供給に回す、という選択もまんざらあり得ない事ではないと思えました。大気汚染や放射能ではなく、食糧難に人類が脅かされているとSF映画の中で語られるというのも今まではあまりなかったのではないでしょうか。宇宙的規模で言えば、重力によって地球に押し付けられるように生きている人類や地球上の生物ですが、生きている限りは葛藤や愛情、正義感、責任感など、様々な感情が渦巻いていて、それは何かの理論では説明できない生身の人間である所以です。インターステラーを観て、科学理論という揺ぎ無い強固なものと、人間の感情というどこかあやふやで論理性に欠けた説明しがたいものとのコントラストを強く感じました。
映画の中に登場する「ワームホール」も物理理論としては、全くのフィクションではなくある程度の市民権を得ている理論のようです。「ワームホール (wormhole) は、時空構造の位相幾何学として考えうる構造の一つで、時空のある一点から別の離れた一点へと直結する空間領域でトンネルのような抜け道である。アメリカの物理学者ホイーラー博士が命名した。」とWikipediaには記されていますが、これを矛盾なくストーリーの中で展開させる試みは、ゼメキス監督の映画「コンタクト」の基になったカール・セーガン博士の同名の小説で、前述のホイーラー博士の弟子、理論物理学者のキップ・ソーン博士によって検証が行われています。「ソーンらは「通過可能であるワームホール (traversible wormhole)」を物理的に定義し、アインシュタイン方程式の解としてそれが可能かどうかを調べた。そして、「もし負のエネルギーをもつ物質が存在するならば、通過可能なワームホールはアインシュタイン方程式の解として存在しうる」と結論し、さらに、時空間のワープやタイムトラベルをも可能にすることを示した。」とWikipediaには続いています。インターステラーの前提もこのソーン博士と映画「コンタクト」の製作にも参画したプロデューサー リンダ・オブストによって考案されているそうです。私は物理の世界には(恐らく関心はあるのだと思いますが)全く疎く、「アインシュタイン方程式の解」と言われてみても何のことやらさっぱりですが、カール・セーガン博士や果てはアインシュタインまで繋がっていく壮大な構想と考証のもとに作られた映画だと知ると、素人の私にも何となく説得力のある感じがしたのは、映画の中の設定が今の地球とそんなに姿を変えていないところにあるだけでなく、化学的な裏付けが確固たるものだったからだ、というのを伺わせます。そこをただ単に科学的なフィクションのトーンで押し通していくのではなく、さらけ出された人間の感情の機微みたいなものをしっかりと絡めているのが、このストーリーの説得力のあるところの要因なのだと思います。見応えのあるHumanなストーリー、科学理論の歪みの中で擦れ合う人間の生々しい感情、映画のジャンルでカテゴライズするならば、「サイエンス・フィクション(SF)」だけでなく「ドラマ(Drama)」も是非冠したい、そんな風に思いました。


近未来の地球。地球規模での植物の枯死により、雨が降らない異常気象。 食糧難により人類は滅亡の危機にあった。


頻繁に起こる砂嵐に苛まされていた。


人々は無気力に慣れっこになってしまっていて、砂嵐の到来にパニックになる事もなく、足早に家へと避難していく。


凄まじい砂嵐。肺をやられてしまわないように、マスクで顔を覆いながら家路へ急ぐ。


砂嵐が通り過ぎると全ては砂まみれに。


家の外はおろか、家の中までも砂は侵入してくる。 毎日が砂との戦い。


人々は疲れ果てていた。


そんな片田舎で、元宇宙飛行士クーパーは、義父と15歳の息子トム、10歳の娘マーフとともにトウモロコシ農場を営んでいる。NASAに国家予算がさけなくなり、宇宙飛行士はもはや無用の長物だった。


マーフは自分の部屋の本棚から本がひとりでに落ちる現象を幽霊のせいだと信じていたが、ある日クーパーはそれが何者かによる重力波を使ったメッセージではないかと気が付く。


秘密裏に活動していたNASAの、土星近傍のワームホールを通り抜けて、別の銀河に人類の新天地を求めるプロジェクトのパイロットに任命されたクーパー。帰還できたとしてもそれがいつなのか不明なミッションに、マーフは激しく反対する。

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二人は和解の機会を得られないまま、クーパーは出発の日を迎え、クーパーはマーフに「必ず戻ってくる」とだけ言い残し、宇宙船エンデュランスに搭乗し地球を後にする。


土星に接近するまでの間、乗組員は冷凍休眠に入る。


エンデュランスは土星近傍のワームホールに接近する。


エンデュランスはワームホールを通り抜け、ラザロ計画の先駆者の一人ミラー飛行士が待つ水の惑星を目指す。既に地球を出発してから2年が経過していた。
(ワームホールを表現した映像。秀逸です。)


水の惑星での1時間は地球の7年間に相当し、クーパーは地球に残してきた家族を想い、水の惑星への接近を躊躇するが、他の飛行士らに公私の混同をたしなめられ、着陸は決行されることとなる。


水の惑星に降り立ち、惑星の表面を捜索するが、ミラー飛行士は見つからず、彼女の着陸船の残骸だけが見つかる。間もなく山脈と見まごうほどの巨大な波が一行を襲う。


ミラー飛行士がこの惑星に到着したのは数時間前、死んだのは数分前にだった。クーパーらはエンデュランスに帰還するが、そこでは23年あまりが経過していた。エンデュランスでクーパーらの帰りを待っていたロミリーはすでに壮年に差しかかっていた。


残る二つの候補惑星のどちらを探査するかの選択を迫られる乗組員。クーパーとロミリーは生存信号を発信し続けているラザロ計画の先駆者マン博士の惑星を推したが、アメリアはもう一方のエドマンズ飛行士の惑星へ行くことを強く推した。クーパーはアメリアとエドマンズが恋人関係であることを見抜き、彼女こそ決断に私情を挟んでいると批判する。
(アン・ハサウェイ、宇宙服を着てても、ショートカットでも、美しいです。)


マーフは地球出発時点のクーパーと同い年に成長していた。重力の研究に携わっていて、その研究で重力の方程式に解を見つけられれば、巨大なスペースコロニーを宇宙に打ち上げ、地球に残された人間を宇宙に脱出させられると期待されている。


クーパー、アメリア、ロミリーの搭乗するエンデュランスはマン博士の待つ、氷の惑星へ針路を取り、氷の惑星に降り立ち、マン博士の設営したキャンプに到着する。


冷凍睡眠装置の中で地球からの後発隊を待つマン博士。


マン博士は氷の惑星に着陸してすぐ、この惑星では人類は生存できないことを悟っていた。彼は孤独に死にゆく運命だったが、それを受け入れることが出来ず、氷の惑星が人類の新天地であるかのような捏造データを地球に発信していたのだ。

(氷の惑星のシーンはどれも眼を瞠るほど美しく、そして厳しさがありました。これがCGではなく、地球上のリアルな造形であるのは本当に驚きです。撮影はアイスランドのスナイフェルスヨークトル氷河で行われたそうです。)



マン博士はクーパーを惑星表面探査に連れ出し、クーパーを不意討ち。エンデュランスを奪取しようと惑星外へ離脱し地球に帰還しようとする。
(マット・デイモン、久々の(?)悪役。やっぱり、彼は悪役がはまり役なのでは?)


マン博士は操作ミスにより急激な減圧で死亡する。エンデュランスも事故の衝撃で本来の軌道を外れ、回転しながら氷の惑星に落下しはじめる。


甚大な損傷を蒙ったエンデュランス。地球への帰還、マーフとの再会は叶わなくなった。


クーパーは、アメリア一人をエンデュランスに残し、彼女一人にミッションの全てを託す。エドマンズの惑星で搭載してきた人類の受精卵を用いて絶滅を阻止するのだ。


クーパーは自分を乗せた機体をエンデュランスから切り離し、ガルガンチュアへ落下していく。


クーパーは無数の立方体が幾重にも折り重なった不思議な空間テサラクトにたどり着く。クーパーはそこが、マーフの部屋を通じて地球の過去、現在、未来全ての時間と連結している空間であると気付く。


クーパーは土星の軌道上に建造された巨大スペースコロニー内部の病室で目覚める。マーフの功績でスペースコロニーの建造と打ち上げが成功し地球の人類が救済されたのだ。
(これは、映画の中のシーンではなく、Webから拾ったワームホールが地上に出現した時の概念図。映画でこんなコロニーの姿を観たときは訳が解らなかったけど、きちんとした理論に基づいての再現だったようです。)


クーパーはコロニーの病室で老婆になったマーフと彼女の大勢の子や孫たちとともに再会を果たす。マーフとの約束を果たしたクーパー。マーフはクーパーにエドマンズの惑星へ1人で向かったアメリアを捜索しに行くよう見送る。クーパーは再び小型宇宙船に乗ってコロニーを後にする。

画像は必ずしもストリート一致していないと思いますが、お気になさらずに。 突然のネタバレでしたが、ネタがバレても見応えは充分だと思うので、これを機にご覧になってはいかがでしょうか!!


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by sanaegogo | 2015-01-01 00:00 | movie


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