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[かがやきの瞬間] ニュー・スナップショット


土曜日に東京都写真美術館(通称:写美)にて、日本の新進作家展vol.9 [かがやきの瞬間] ニュー・スナップショット を観てきました。

日本の新進作家展vol.9 [かがやきの瞬間]
ニュー・スナップショット
2010年12月11日 ( 土 ) ~ 2011年2月6日 ( 日 )

先人の写真家たちによってかたちづくられた「スナップショット」の伝統をふまえ、未来へのエレメント(要素)を探し出そうとする作家たちを取り上げています。
出展作家は、
■ 池田 宏彦 Ikeda Hirohiko (1971-)

■ 小畑 雄嗣 Obata Yuji (1962- )

■ 白井 里実 Shirai Satomi (1972- )

■ 中村 ハルコ Nakamura Haruko (1962-2005)

■ 山城 知佳子 Yamashiro Chikako (1976- )

■ 結城 臣雄 Yuki Shigeo (1945- )

の6名です。
ここで私が特筆したいのが、中村ハルコです。お名前を知っていたと言う事は、何処かで彼女の作品を拝見していて、心に残っていたからだろうと思うのですが、2005年に43歳の若さで3人の子供たちを残して早逝(早世)されていたのを知り、少し愕然としました。6人の作家の中で最も自然に被写体に寄り添って、生き生きと[かがやきの瞬間]を納めているそのトスカーナでのシリーズには、カメラと一体になった中村ハルコのリアルに触れているその世界、瞬間、など、中村ハルコ自身の暖かい眼差しが見て取れるように感じられます。『もっともっとこんな写真を撮り続けられたらよかっただろうに・・・・。』作者の人生を想像して、そしてもうこの人の写真は2度と新しく世の中にリリースされる事はないんだ、と言う思いが、その写真達を一層ドラマチックに見せているのかも知れません。中村ハルコの写真を手許に持っていたくて、久しぶりに図録を購入しました。
小畑雄嗣の冬の北海道で撮影された作品群もよかったです。中村ハルコが情景の中に入り込んで写真を撮っているのとは対照的に、離れた視線で外側から情景を切り取った写真です。どちらもそれぞれのスタイルです。冬の張り詰めた凍てつく空気感とスケートを滑る子供達のシャープな動きが寒さの持つ独特な緊張感を感じさせてくれます。
山城 知佳子の沖縄の写真も、光溢れる南の島の強い日差しから産まれる濃い影の情景を印象的に表現してます。池田 宏彦はイスラエルの砂漠で撮影を重ね、その場所では当たり前のような光景をスナップに納め持ち帰り、他所から来た者には偶然であるそこでの必然を示しているように見えました。日常自分の居場所から離れてスナップを撮る時の醍醐味と言えると思います。
翻って、他の2名は、どっぷりと日常に浸っている中での写真や、異国で意図的に再現された日常などを撮っていて、全体は大きく分けてそんな風になってる気がします。どれも、[スナップ]なんですよね。
なかなか面白かったです。



もうひとつ、収蔵作品を展示した収蔵作品展 [かがやきの瞬間] スナップショットの魅力 を一頻り観て、喉が渇いて小腹が空いたので、1階のカフェ シャンブル クレール(明るい部屋)で休憩。

ここはかのブラッセルズの系列店らしく、折角なので、ラフランスのビールを呑んで来ました。風邪っぴきの体に染み渡る冷たいベルギービール。美味しかったです。


さて、本編とは外れますが、中村ハルコさんの夫の手記が見つかりましたので、ご紹介しておきます。
● フォトグラファー 中村ハルコ それから
● フォトグラファー 中村ハルコ 四十九日に





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by sanaegogo | 2011-01-23 00:00 | art


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