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Ryan McGinley 「Reach Out, I'm Right Here」 @Tomio Koyama Gallery
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ライアン・マッギンレー 展 
Reach Out, I’m Right Here 2012
2012年9月1日(土) - 9月29日(土)
小山登美夫ギャラリー東京 7F

今日までだったのですが、駆け込みで行って来ました。 そしてそして、今までに観た事も無い世界(写真)を観る事が出来た、と感じています。衝撃をもって。Set-upと Natural Situationの狭間と言うか、融合と言うか。今までとは全く違う感覚をもって、 しばしその"今までに観た事のない場所"で群れている、どうしてそこにいるのか、何所から来たのか、何所へ行くのかも解らない若者達。その数枚の写真は脈絡のない数枚の風景でありながら、まるでロードムービーのようで、不思議なその若者達があてどもない旅をしている、そのドキュメンタリーのようにも感じられ、自分の観ているその写真達の時間軸がこの世の中のどこに合っているかが解らないような、感覚を覚えました。





これは、説明しても観た人にしか解らない感覚のような気がします。 ライアン・マッギンレーの写真を観ていると、視覚から体が持っていかれてしまうように惹き込まれる感覚を味わう事が出来ます。ヒカリエの「animals」もよかったけれど、やっぱりこちらでした。
ライアン・マッギンレーの撮影手法はセットアップでありながら、自分が得たい状況を全て作為的に創り出すのではなく、被写体は放たれた彼の用意した至極幻想的な世界の中で自由に動き回り、マッギンレーはその中で決定的瞬間を狙っています。その世界の中で躍動し、感情を迸らせている若者が全て素っ裸、と言うのが非日常的で非現実的なエッセンスを多分に与えていますが、そこは確実に、この世の中に存在する「どこか」なのです。誰かが試みていてそうで、実は誰も出来なかったような情景を具現化できるのは、偏にマッギンレー天性の瞬発力と言うか、漠然と広がる視界の中から一瞬の昇華した瞬間にフレームを与えて1枚の写真として切り出す天性の俊敏性というか、そんなものを感じざるを得ません。その情景は、裸と言うともすればグロテスクになりがちな被写体にえも言われぬ美しさを与えています。その写真を観ると、今までに自分が使ったことのないような感覚を感じる部分が刺激されているような気さえします。その情景の美しさに、しばし茫然としたりします。



百聞は一見にしかず、と言うので、是非にとも言いたいのですが、残念ながら今日でお終い。最終日でしたが、ギャラリーで観る事ができて、嬉しかったです。2012年の「とびきり!」になろうかと思われます。 今日も小山登美夫ギャラリーは沢山の来場者で賑わっていましたよ。







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by sanaegogo | 2012-09-29 00:00 | art | Comments(0)
"Animals" Ryan McGinley ライアン・マッギンレー「Animals」展
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ライアン・マッギンレー「Animals」
"Animals" Ryan McGinley
会 期2012年8月31日‐2012年10月 1日
時 間11:00‐20:00
料 金無料/Admission Free

つい数週間前の事ですが、"ライアン・マッギンレー本人にヌードや動物と一緒の写真を撮影してもらう"と言うイベントがありました。当日は沢山の人たちで賑わっていたようです。 それから行かねば行かねば、と思いつつ、日本初めての個展、やっと行って参りました。 今回は彼の日本初の個展で、ここ渋谷のヒカリエの8/の03/ART GALLERY/ Tomio Koyama Galleryでは、「Animals」を、清澄白河の小山登美夫ギャラリー東京では「Reach Out, I'm Right Here」が開催されています。
ワタシにとってライアン・マッギンレーと言えば、シガーロスの「残響」というアルバムのアートワークでしょうか。 素っ裸の男女が野原に向って駆け出していく不思議な情景。文明以前の野生生活への回帰を提唱するヒッピー的な何かを感じさせる写真ですが、排他的で無気力な感じは微塵もありません。ヒカリエで展示されていたものはこれとは全く趣を変えたもので、よりセットアップされた撮影環境の中でヌードの人間と動物が繰り広げるインパクトある「絡み」を捉えたものです。色彩のインパクト、動物達のこちらに向ける真っ直ぐな視線のインパクト、時にハッとし時にユーモラスな土台(?)となった人間の肢体の構成のインパクトが非常に印象的です。この「Animals」のシリーズと今までのマッギンレーの作品とは、何だか関連性のないように感じられますが、実は、決定的瞬間、ロード・トリップ、自然なままの姿、裸、セットアップなどのキーワードを紐解いていくと、決して違うライン上に位置している訳ではなっくて、彼の基本的スタイルは1本筋の通ったものとして見てとる事が出来る訳です。
ライアン・マッギンレー自身については、色々なところで紹介されているので、ここでは言わずもがななのですが、イズムコンシェルジュの記事が一番端的なような気がしたので、こちらをご紹介しておきます。

イズムコンシェルジュ: オルタナティブ・ジャーニーな世界観に写真の「今」をみる。 ライアン・マッギンレー展



ヒカリエでは、スペースの問題もあるのか、もう少し観たいなー、と言う感じは否めませんでしたが、渋谷のど真ん中のこう言うスペースに無料でふらっと入れる敷居のあまり高くないギャラリーがあり、そこで観に来た人のみならず、たまたまぶらっと来た人達にもこのように紹介できる場を作ったのは、ある意味小山登美夫という人の凄さとひとつの業績のように思えます。ギャラリーの入り口では2012年に発刊された彼の写真集『Ryan McGinley: Whistle for the Wind』が置いてあり、ぱらぱらと見ていたら、映画監督のガス・ヴァン・サント(他に写真家、音楽家、作家でもある)との対談とかもやっていたみたいですね。時間があったらこれも読んでみたかったですが。とは言え、肝心なところは清澄白河に観に来てください、と言うメッセージが込められているような。マッギンレーの世界観、裸の人間を撮影すると言う反社会的で退廃的とも思われがちな状況イメージの中に迸る、実は素直で純粋な「生」へのエネルギーと喜びを感じさせるような、カメラの前で演技する事をきっかけとして結果自然体の自己表現を炸裂させているような彼のオリジン的な作品を味わえるのは、清澄白河の「Reach Out, I'm Right Here」のような気がします。きっと彼の写真から滲み出る躍動感を味わえるはず。こちらは会期は9月29日まで。 果たして間に合うかっ!?

TOMIO KOYAMA Gallery
ライアン・マッギンレー 展
Reach Out, I'm Right Here
2012年9月1日(土) - 9月29日(土)
http://www.tomiokoyamagallery.com/exhibitions/ryan-mcginley-exhibition-2012/

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by sanaegogo | 2012-09-22 00:00 | art | Comments(0)
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2012
今、新潟で行われている『越後妻有トリエンナーレ 大地の芸術祭』に行って来ました。速報その他はFacebookで何度も書かせていただいてますので、今日はアルバム的なものを・・・。

大地の芸術祭
越後妻有アートトリエンナーレ2012
7.29 SUN-9.17 MON

大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレは、2000年から新潟県越後妻有地域(十日町市、津南町)で開催されている世界最大規模の国際芸術祭です。『世界最大規模』と言うのは恐らくそのカバーしている地域の広大さから言われていることだろうと推察出来るのですが、とにかく広い。 全部見ようとすると多分泊りがけでないと無理。十日町、津南町のその周辺のエリアに沢山の作品が展示されていて、結果参加した作家の数も『世界最大規模』と言う事になるんだと思う。 「人間は自然に内包される」を理念に、点在して孤立しがちな山間の集落をネックッレスのようにつなぎ合わせて、過疎化した集落単体では出来ない繋がりのようなものを目指して継続的な地域の活性化をアーティストと地域住民が協働する事によって図って行こう!と言う取り組みです。(一昔前に流行ったですが、”sustainability”ですね。)提唱したのは当時新潟県知事だった平山征夫さん。(ワタシはこれを耳で聴いて、『もしかして、平山郁夫? そんな事もやってたんだ。すげー。』と思いましたが、それは誤解だったようです。) 総合ディレクターは北川フラムさん。2008年から代官山AITに通ってましたが、そこでの講師としてお話を伺った機会もありました。 2009年の前回はAITからのツアーの募集とかもあったんですが、正直あまりピンと来ず。 今年は何で、と言う事もなく自然と心が『行ってみたいなー。』と言うのに傾いて、訪れてみると。 盛り上がっていました。ワタシの周りの友人・知人達も結構な数の人が足を運んでいるようです。(FBも盛り上がってたなぁ。) 学生さん、リタイアしたらしきご夫婦、奥様同士の一行、いかにもアート業界関係者らしき人、どのくらい皆さんがコンテンポラリーのアート作品に理解があるかはまちまちでしょうけど、関心が高まっているのは確かでしょう。 敷居の高くないこのような機会が増えて、構える事なく自然体で、大自然の中で、それに溶け込んだ作品達を観て何かを感じる。人それぞれに自由に。地元の人たちも、そりゃ、以前は反発もあったようですが、結果、多くの人々が訪れる事となり、『都会の人は何を考えているのか解らん。』と言ったような拒否反応は、今ではあまり無いそうです。 土壌と風土と生活にこんな風に自然と溶け込んでいくパブリックアートが土地の人にも観に行く人にも受け容れられるような、そんな動きが各地でも加速しているようですね。

さて、それでは、ツアー的にご紹介をしていきたいと思います!


この地域は中越地震後、過疎化が急速に進み、おびただしい数の廃校と空き家を生み出してしまったそうですが、大地の芸術祭は『廃校プロジェクト』とも言われていて、今では使われなくなった廃校に作品を設置しているところが多くあります。


『絵本と木の実の美術館』の裏手にあった井戸と水の流れる竹の水路。この水の滴っている竹の樋も作品のひとつで、この日は暑かったので滴り落ちる水滴を見ているだけでも目に涼しく清々しかったです。


廃校の教室に出来ていたカフェ。 オーガニックで美味しそうなメニューが揃ってました。


『(作品名が分からなくなってしまったのですが。)』使われなくなった農家の中に、昔住まう人がいた頃に使われていた農機具や家具が砂に埋もれて配置されていて、切なさを醸し出してます。


流し台から臨む屋外の風景。 夏景色ですねぇ。


『名が山写真館』これも古民家再生の作品です。中では訪れた人の遺影を撮影してくれます。 今この時に自分が生きていた証としての遺影だそうです。壁には一面に訪れた人のポートレイト(あ、『遺影』ですね。)が飾られています。


今では越後妻有の顔となった、まつだい農舞台にあるイリヤ&エミリア・カバコフ『棚田』。です。写真ではよく見かけていたのですが、思った以上に風景と溶け込んでいて、土地の風景と作品が調和した顔となる作品として扱われるようになったのも頷ける感じ。それと対照的に、全く周囲の雰囲気と溶け込む事なく異彩を放っていたのが、これ、草間彌生の『花咲ける妻有』。これはこれで、この存在感はあっぱれです。


作品の間を歩いているとこんな風景によく出逢います。 こんなに広々とした緑のカーペットは、ワタシの日常ではもうあまり見かけなくなったけど、ここではこれが日常なんですね。


黄色い花が至る所に咲いてました。今回2012年のウェブサイトのバナーにもなっていた石川直樹風に撮影。


『ブランコの家』と『BankART妻有』。 『ブランコの家』は、当時ここに住んでいた3姉妹のエピソードを作家が聞き取りをして、その思い出を再現した、と言うコンセプト。古い農家に淀むように漂うノスタルジックな感じが何とも言えない風情でした。古い農家って、住むには不便そうな感じでインフラも全然整っていないのですが、独特の使い勝手と言うか、あがりはなの造りとか、唐突な階段の在り方とか、間取りの不思議さとか、見ていて飽きないし、不便さの中に見え隠れした凛として毅然とした生活する決意みたいなものが見てとれて、何だか好きなのです。




星峠から臨む棚田。ここ松代は棚田の里としても知られていて、沢山の棚田を見ることが出来ます。これが観たくて訪れた事もあり、大満足の風景でした。


『コロッケハウス』は、これも昔の農家全体に吹き付けを施していて、それがコロッケの衣みたいのなので、コロッケハウス、だそうです。(何だか、逆説的ですが、作品のネーミング、タイトルの重要性を感じるような・・・・・。)


『脱皮する家』これは、日藝の有志が長い作業時間を要して家の中全て、床も梁も天井も全て鑿を入れて内側に眠るものを再生させた、と言うもの。なので『脱皮』。この家もそうですが、廃屋となったこの辺りの農家はどれも小振りで狭い家屋を上手に使って住みなしていたんだろうな、と察せます。 住んでた人の生活の工夫とかが想像できて、そんな風に古民家を見るのも楽しいものです。


越後妻有里山現代美術館[キナーレ]の中庭に展示されているボルタンスキーのNo Man’s Land。これは今回の目玉でしょうね。これは「誰のものでもない、誰もいない土地」と言う意味で、2010年にパリ・グランパレで展示された作品を膨らませたものです。東日本大震災、長野県北部地震で被害を受けた東北・越後妻有の被災地をボルタンスキー自身が実際に歩き、その体験を通して再構想されたものです。
ボルタンスキーは松之山地区に『最後の教室』と言う作品も出していて、これも人気が高く見てきたかったんですが、何せ、ワタシの廻った松代とは距離が離れすぎていて・・・。そう言う意味では、タレルの『光の家』も見逃してます。 機会があったら是非これらも行って見たいけど、トリエンナーレが終わったら見られなくなっちゃうのかな。 会期9月17日までです。

全作品リストはこちら・・・・> http://www.echigo-tsumari.jp/artwork/#!/

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by sanaegogo | 2012-09-10 00:00 | art | Comments(0)
MOMAT 「夏の家」


今、近美こと東京国立近代美術館の前庭で行われている「夏の家」。日中はまだまだ暑いこの時期、夕涼みにはおススメです。 ・・・・と言っても、22時までの開放は昨日までだったんですが。

夏の家
MOMAT Pavilion designed and built by Studio Mumbai
2012年8月26日(日)―2013年1月14日(月・祝)

ワタシの行ったこの日は竣工式だったのですが、それまでは実際インドから大工さんが来て、この前庭で施工の様子を見ることが出来たそうです。 日本の夏は湿度が高くて暑っいんですが、本場インドの大工さんにとっては、子供騙し、朝飯前な感じで、こんな暑さはものともせずに仕事をしていた事でしょう。竣工式のあったこの日は、訪れた人に日本式に樽酒も振舞われ、大工さんも関係者と一緒に記念写真に納まってました。 22時まで開放されているのは9月8日(土)までなのですが、9月13日(木)から29日(土)までの、毎週木・金・土は21:00までやっているそうなので、夕涼みのチャンスを逃した人は、是非行ってみてください。「夏の家」がやってる夏の期間は、「BEER MOMAT」なる屋台も出てまして、そこで仕入れた飲み物や食べ物を夏の家に持ち込むのもOK。 この日は鎌倉山で栽培してると言うホーリーバジルの入ったモヒートも出ていて、「やっぱ、モヒートでしょう!」と、空きっ腹に日本酒に加えてモヒートを2杯。(日本酒はともかくとして)蒸し暑い夏の夕べにモヒートはベストマッチ、と言うものでしょう!
さて、この「夏の家」は近代美術館の開館60周年記念企画として、インド人大工さんの手によって美術館の前庭に東屋を建てて、憩いの場として開放する、と言うものです。設計・施工を担当するのは、インド人建築家ビジョイ・ジェインがムンバイに設立した、大工職人と設計者による、設計から施工まで一括して手掛ける建築事務所のスタジオ・ムンバイ。彼らは、設計図や建築図面と言うよりは、スケッチや実際のモックアップを繰り返しながら職人や芸術家達と何度も検討を重ねて、そのプロセスでデザインが出来上がっていくと言う独自のスタイルを持ち、それを実践しています。独自の建材を作り出し、それを利用して、設計図無しで考えながら継ぎ足し継ぎ足しで工夫しながら家を作りあげていく様子は、今では半ば死語になってしまった戦後日本の『バラック』の手法と大きく共通するところがあり、実際、スタジオ・ムンバイは関東大震災や戦後の日本のバラックの調査に大きな感銘を覚えたそうです。スラムドッグ$ミリオネアで日本の人の知るところとなったインド ムンバイのバラックと、混沌としていた震災後や戦後の日本のバラックの理念みたいなものがどこか何かで繋がっていると言うのは興味深いハナシです。 だいたい、バラックを建築の一手法と捉えること自体が、自分にとって目から鱗と言うか、斬新な感じがしました。 バラックは「仕方のない」状況から生まれた「仕方のない」必要に迫られた住まいと言う成り立ちだけな訳ではなく、工夫と試行錯誤を重ねた上に生まれた究極の自分仕様のカスタマイズなのですね。
この日は午前中から激しい雨と晴れ間が繰り返すようなお天気でしたが、「夏の家」に着いて竣工式のお酒をいただいたり、そこに居合わせた何人かの方々とお話をしたり、BEER MOMATのモスキートをブランコに揺れられながらくぴくぴとやっていたら、ざざざーーっと雨が。Showerです。 近くにいたスタジオ・ムンバイのビジョイさん(ちょっとリチャード・ギア似)と「インドのモンスーンのようだねー。」と言って盛りあがりました。 「竣工式にこんな事まで計画してたのかい?」なんてねー。 (ビジョイさん、写真左側の白いシャツの方です。 インドの方は本当に白が良くお似合いで・・・・。)
9月15日は「夏の家」にあるお月見台でお月見会も企画されているようです。
当日は下弦の月のようですが、写真家の中村綾緒さんによる「あつめたひかりをそらにかえす」と言うコンセプトの屋外映像投影やBEER MOMATの特別メニューなどが楽しめるようです。
日時:9月15日 18:00-21:00 (雨天順延)
段々と秋の夜長も気持ちいい季節になってきます。私ももう一回行ってみたいな。

今後の様子はブログで随時公開されます。 関心がある方は是非!
http://www.momat.go.jp/momat60/studiomumbai/

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by sanaegogo | 2012-09-01 00:00 | art | Comments(0)