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赤鹿World炸裂! 「Did you sleep well?」@松の湯



少し前の事ですが、赤鹿麻耶さんが江戸川橋の銭湯を舞台に刺激的な展示をしていると言うので、駆け込みで観て来たんです。 新宿(あの辺は文京区ではなくて新宿区なんですね。)にある銭湯 松の湯さんの2階でそのハッチャけた展示は開催されていました。 1階ではまだ、松の湯さんは通常営業されています。 2階は使われなくなっていて、その刺激に富んだ空きスペースをノビノビと活用して 赤鹿ワールドが炸裂していました。


 




言い古されたハナシを持ち出しますが、ホワイトキューブのスペースでの展示は墓場のようなものだ、と言われ始めて以来、大分年月も経ちましたが、この事を振り返って考えてみても、赤鹿さんのその展示は、エネルギーに溢れていてまるで展示全体がひとつの生命体であるかのような躍動感でした。これは赤鹿さんの写真の作風によるところも大きいと思うのですが、とにかく自由、そしてそれを謳歌している感じです。
完全なるデジタルプリント世代で、これを見たらある種の人々は完全に眉を顰め、しかめっ面をするだろうけど、当の本人たちはまったく頓着ないし、旧態依然としたものと自分たちを比較したり、対抗意識みたいなものはまるでないのは一目瞭然です。自分たちのマインドにフィットしたフォーマットでの表現を用いて、真摯な態度でやりたい放題を追求している姿はある意味清々しささえ感じられます。







 




デジタル撮影も手軽だし、インクジェットのプリントも手軽にできる、これはもちろん、ある水準を超えた技術を習得してその素養を持ち合わせていることが大前提なのですが、題材の「場」づくりから、撮影、プリントして選んで、惜しげもなく床に敷き詰めたり、水没させたりと、奔放に作品を並べて展示していくその一連の作業の全てが、ある程度の量産が出来る贅沢さを孕んでいて、フィルム1本の撮影に集中し、現像、プリントは全神経を集中させる真剣勝負、というスタイルとは大きく袂を分かっています。 言わずもがなですが、どちらがいいとか、悪いとかの話ではないのですが・・・。展示の方法も、ひとつひとつの個々の作品を味わって、そして作家が出し切っているものを感じ取ってほしい、という様なスタンスのものではなく、怒涛のように作品を並べ、整然とそこに展示している作品を「見てほしい」という受動的な体のものでもなく、完全にこちらにアピールして、観るものを巻き込んでしまっているような感があるます。 偏に赤鹿さんの作風と表現のフォーマットとそれを観る「場」づくりの一貫性のブレなさがなせる業だと思いますが、ご自身に一番ぴったりの表現方法を見つけることに成功しているのは間違いないでしょう。







一体、何人の登場人物がいるんでしょうか。突飛で奇抜なコスチュームに扮して、至極馬鹿馬鹿しい事を繰り広げる満面の笑顔の仲間たち。 これだけの面々を束ねている赤鹿さんの人としてのコミュニケーション能力の素晴らしさも垣間見られる気がします。作品としての写真を撮る時、人に見せる場をつくる時、そこには卓越したコミュニケーションの力が介在していて、完全なるコミュニケーションの世界がそこにも展開されていて、それは自分の世界観を双方に知らしめるツールであることを認識させられます。同世代の人たちがみんなで何かを写真をとりながらこうやっているところを見るとライアン・マッギンレーとか思い出します。あの幻想的でシリアスな雰囲気とはまた少し違うのですが、同世代の共通点なのでしょうか。












とにかくパワフルでエネルギッシュ。 色彩感覚もポップで可愛いです。
表現方法の話ばかりになってしまいましたが、写真も確実にうまいです。なので、あそこまでの大判プリントにも耐えられる確かな技術としての写真も感じられます。




これはブックの中の1枚ですが、この写真好きです。




あともう1枚がこれかなぁ。 ブックでまとめてある方は、少しシリアスチックな雰囲気を醸してました。



赤鹿麻耶写真展
ぴょんぴょんプロジェクト vol.1
「Did you sleep well?」
http://akashikamaya.com/blog/?p=3170

大阪展|
4月24日(金)〜30日(木) 11:00〜19:00(日没まで)
桃谷の空き地 特設スペース(大阪市生野区桃谷)

東京展|
6月5日(金)〜14日(日) 14:00〜21:00
江戸川橋・銭湯 松の湯2階(東京都新宿区山吹町) 



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by sanaegogo | 2015-06-13 00:00 | art


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