アレキサンダー・グロンスキー (Alexander Gronsky) | YUKA TSURUNO GALLERY


I confese… 実は今年の私の写真は、このグロンスキーの影響を多大に受けているようです。だだっ広い風景の中にぽつぽつと点在する人々を散らして、ハイキー気味な写真を撮る。これは、今にして思うと明らかにグロンスキーっぽいと思うのですが、間違いないです。初めてグロンスキーの作品を見たのは、「2013 Summer のVol.4 特集 来るべき写真家のために」でした。
―― 孵化したばかりの作品を理解しようと試みることは、私たちがいま住んでいるこの世界と向き合うことでもあり、ひいては、遠からぬ未来を予測することでもある。
「来るべき写真家」の1人としてピックアップされているように、グロンスキーも確かに若いです。1980年生まれだそうです。もともとは報道カメラマンだそうですが、まるで映画の一場面のために特別に設定した時代や都市の風景のようなどこか違和感の残るランドスケープの写真を撮ります。Vol.4で見た時は、正直自分の中でそれ程インパクトを持って迎え入れた訳ではありません。ただ、雪景色の写真は好きなので、それで印象に残っていたのかと思うのですが、じわじわ、じわじわと来ましたね。 そして、グロンスキーが来るぞ!と知った時、何だかとっても楽しみにしている自分に気が付いてしまった訳です。
そんなこんなで、東雲にあるTOLOTのYUKA TSURUNOで開催されたグロンスキー展に行って来ました。



Alexander Gronsky
アレキサンダー・グロンスキー
YUKA TSURUNO GALLERY
September 6 - November 15, 2014  (*会期を延長しました)
Website
Works in Exhibition
Installation View




『作品の特徴として、グロンスキーは一枚の写真の中に、あらゆる意味での「境界線」を潜ませています。それは、水平線で示される視覚的な境界線だけでなく、郊外と都市、社会主義の遺産としてのインフラと手つかずの自然、私的空間と公的空間、生と死といった様々な境界でもあり、また同時に、それらの全てが一つの画面に収められた、境界のない大地の風景としても提示されています。』
テキストの中に記されているこの「対比」ですが、確かに。ネガティブなものとポジティブなもののコントラストが作品に独特の印象を与えています。『周辺環境と地域住民の関係性を探求する作品』という表現もあるでしょう。ただもっと単純に、このどことなくチグハグな情景は、無理やりに架空の世界を設定した一昔前のSF映画のようでもあり、「近未来的」な情景を感じさせます。 この「近未来的」という言葉もどことなく古びた響きで、グロンスキーの暮らす旧共産圏のイメージとダブるような気がします。ある時点で忘れ去られているかのような近代化です。(余談ですけど、近未来とは結局いつ頃の事なんでしょうね。今はもはや、近未来映画が制作された頃の「未来」をとうに追い越してしまっている現代に生きているって事なんでしょうね。) しかしながら、どこかチグハグで嘘くさいグロンスキーの切り取るその風景は、紛れもなく今現在のロシア・旧ソ連地域で現実にある風景なんです。






写真展はそんな良い意味での違和感に満ちた楽しいものでした。グロンスキの選んだプリントが1枚添えられている写真集を購入してしまったのですが、そのプリント、日本のお客さんには、この写真(左)が人気だったそうなのですが、ご本人のイチオシは、こちらの写真(上)だそうです。勿論私はご本人のイチオシを購入しました。 (もうひとつのも好きだったんですけどね。折角だから・・・・。)




ここで私が勝手にカテゴライズしたグロンスキーの作品をいくつか・・・・。

【snowscape】
殺風景な雪のロシア郊外の風景ですが、社会的なメッセージはあまり表に出ず、ちょっとユーモラスに、ちょっと可愛らしく、ロシアの郊外でそこで暮らす人々が織りなす風景という趣です。画面は白く、寒い戸外でアクティビティーを楽しむ人々がぽつぽつとカラフルに散りばめられています。 ちょっと見ていると、まるでペイント作品のようにも見えてきます。





【Ophelia】
これはただ単に、緑盛んな風景を見て絵画の「オフェーリア」を連想したに他ならないのですが、違うのは、辺りにはゴミが散乱していたり、恋人たちが寛ぐ木立の背後には、殺伐とした原子炉がそびえ立っていたり。人工建造物が創りだす荒涼とした風景と人々の営みが互いに寄り添っている風景です。





【emigration to new planet】
とても目を惹くSituationです。地球ではもはや暮らせなくなった人類が太陽系の外にその活路を見出し移民していて、至極人工的な自然環境の中で、かつて地球で営んでいたような楽しい余暇の過ごし方を全て後天的な環境の中で健気に再現しようとしている・・・・、そんなB級映画のSF映画の一場面を連想してしまいます。 この場所は、きっと大きな透明なドームか何かで覆われているに違いない、と考えが飛躍してしまいそうな人工的な風景が繰り広げられています。




70299
[PR]
by sanaegogo | 2014-10-18 00:00 | art | Comments(0)


<< ふたつのVivian Sass... Mark Borthwick ... >>