Dog Chasing My Car in the Desert, John Divola


TOKYO PHOTOに行って、特別展示の「車窓からの眺め(Pictures From Moving Cars)」を観ました。 これは、TATE Modernの写真部門チーフキュレーター サイモン・ベイカー(Simon Baker)のキュレーションによるもので、森山大道、ジョエル・マイヤロヴィッツ、ジョン・ディヴォラが車をひた走らせ、車窓から捉えた飛び去る光景や被写体を写真に納めたものです。



森山、マイヤロヴィッツ、ディヴォラとそれぞれに良かったのですが、ワタシは何と言ってもこれ。 ジョン・ディヴォラ(John Divola)の"Dog Chasing My Car in the Desert" です。 というよりも、こればかり観ていて、他の2人の印象の入り込む余地がなかったような気もします。 実はその前にサイモン・ベイカー氏のギャラリートークを聞いていたので、ワタシの関心はすっかりニューカラーのマイヤロヴィッツに向うものだとばかり思っていたのですが、トークの後、展示室に入ると意外にもワタシの眼はジョン・ディヴォラに釘付け。 小さな個室を挟んでではありましたが、その正面にちらりと見えた壁に直貼りの写真でした。連続写真のようでいて、その写真はどれも同じトーンのものはなく、かなり個別に個性的。 かといって不協和音を起こしているわけではない、不思議な連続性。 車窓からの写真は車や列車の中から皆がよく撮影をしますが、どちらかというとロードムービー的な空気感が流れ、そこにある種の心情を映すような雰囲気ですが、これは明らかにアクションシーン。 それを作品として昇華させて並べた事にその斬新さを感じます。 まさに犬と車の時速60kmでの一騎打ち。 車を凝視するその犬の狂気じみた視線。 その犬の動きを我がものにしようと揺れてブレるカメラの緊張感がこの作品にはあります。 決してライ・クーダーのギターに合わせて思い出のように千切れて風に飛んで行くノスタルジックな情景ではないのです。カメラは荒れた路面に翻弄されハンドルさえも取られそうになりながら犬を追いかけます。 レールに乗せた頑丈なクレーンの上で滑るように移動するカメラではないのです。 明らかにディヴォラは身体(しんたい)を駆使して撮影をしていて、撮影をするということはいかに身体能力を使い、四肢をフル稼働させて撮るものかを再確認できます。 ディヴォラは、「犬は車に追いつけない。 そして、カメラも犬には追いつけない。」と語ったそうですが、何とも哲学的な含蓄があります。 一瞬の連続であり、ストーリーでもある。 この時車も撮影機材の一部となるのです。 犬の走る「動」、車の走る「動」、シャッターが開いては閉じる「動」、それを操るディヴォラの「動」、これらの「動」が複雑に絡み合う事で、" 車の窓はもうひとつのフレームと化し・・・・云々"、とは全く違った車窓からの眺めを描き出していて、その異質さに夢中になりました。





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遠くに見えていた犬が唐突に目の前に登場。 この導入にはかなりやられてしまいました。




ひたすらに並走する黒犬。




もはや、犬の身体も残像と軌跡とごちゃ混ぜに。 「犬は車に追いつけない。 そして、カメラも犬には追いつけない。」瞬間を捉えています。




ディヴォラを牽制する犬の視線。 乱れたフレーミングが意味するものとは。



John Divolaの"Dog Chasing My Car in the Desert" もう一度どこかで、(写真集ではなくて展示で) 観たいです。 そして、これをピックアップして紹介してくれた サイモン・ベイカー氏に心から感謝を。
http://www.tokyophoto.org/2013/special/tate/index.php

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by sanaegogo | 2013-09-28 00:00 | art | Comments(0)


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