坂田栄一郎 ― 江ノ島 @原美術館
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坂田栄一郎の写真展「江ノ島」の告知のこの写真を観た時に、あー、『そうだよなー』、と改めて、久々に、思い出しました。この湘南の海の黒い砂を。夏と言えばビーチ。 珊瑚礁が砕けて細かくさらさらになって出来た沖縄や海外の南の島の写真が『ビーチ』の必須アイテムのようですが、その写真に写った砂は、灰色や黒で粒子も粗く、火山の国 日本で出来た砂、まさにそんな感じです。石が小さく砕けて出来た成り立ちなので、夏の天日に当たると信じられないような熱を持って、裸足ではとても一箇所には留まっていられません。 『熱ちーーーいぃっ!』と叫びながら波打ち際まで足を冷やしに走るのです。 そもそも、『ビーチ』なんて洒落た言葉はあまり似合わなくて、言うなれば『浜』、です。 砂浜にレジャーシートをコジンマリと敷いて、まるで安全地帯で休息するかのように、その小さいスペースで、人々は思い思いに過します。 日焼け止めを塗ったり、ポテトチップスを食べたり、ビールを呑んだり、日焼け止めを塗り直しを幾度となく繰り返したり。灼熱地獄の中でぽつんと確保したその狭いスペースの中で、色々な営みをします。 坂田さんは、そんなある意味、生活感というか、人間臭さと言うか、洗練されてもいなくて生々しい素の部分を写真に納めています。 それが、この「江ノ島」です。
坂田栄一郎は、雑誌AERAでずっと著名人、有名人、文化人のポートレートを撮影して来た写真家で、そのポートレートの大家みたいな人が、人が全くいない写真を撮り続けていた、と言う事も話題なのでしょうが、それを知らない人が観ても、写真に写る何とも言えないこの生活臭、まぁ、海に遊びに来る事は生活の一部とまではいかないので『生活』という言葉がぴったりしているかどうか、と言う話はありますが、明らかにそこには日常生活を普通におくる普通の人間の痕跡とか存在の気配とか、そんなものが感じられる独特の雰囲気には目を留めてしまうと思います。 (ワタシもその1人) 洗練されてお洒落な"Beach"の雰囲気なんて全然ないのに、何だかとても惹きつけられてしまいました。人はいないのに、明らかにそれは人の痕跡とか気配とか、そこに座っているだろうグループの人たちの人となりまで想像させるのです。 しかもそれが、写真としても超上出来なのです。 夏の熱い熱い砂のちょっとむせ返るような、蒸すような立ち上る空気とか、そこに座っている人がどんな人か、どんな風に海を楽しんで過しているのか、1枚1枚の写真から喚起されるイメージや派生してくる想像の広がりがはんぱない。 とてつもなく想像力を掻き立てさせられます。 これってすごい力ですよね。 バラエティーもまたすごい。 シンプルで凝った(凝りすぎた)ところは全くないのに、その写真のもつ表現の厚みがすごいのです。 ちょっと暑気(あつけ)にやられてしまいました。
坂田栄一郎 ― 江ノ島。 9月もまだやってる観たいですので、まだの方は是非。原美術館は水曜日に夜8時までやってるので、夜に行くのがおススメです。珍しく、撮影OKの展示室がありました。

   



坂田栄一郎 ― 江ノ島
Eiichiro Sakata ― Enoshima
2013年7月13日(土) ― 9月29日(日)
July 13│Sunday│― September 29 │Sunday│, 2013
原美術館






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by sanaegogo | 2013-08-07 00:00 | art | Comments(0)


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