螺旋海岸 志賀理江子トークイベント
e0168781_219599.jpg


『螺旋海岸』と言う不可思議なタイトルの写真展を被災地宮城県の仙台メディアテークで開催したと言う事が気になって、志賀理江子さんのトークショーに出かけてきましたが、話を聞いたり、スライドショーで彼女の写真を観てみると、名前は勿論知ってましたが、私はそんなに志賀理江子の写真についてよく知っていて某かの感想を抱いていると言う訳ではなかった事を改めて知りました。『螺旋海岸』という言葉が生み出す不思議な想像力と言葉の持つ独特の雰囲気がずっと気になっていただけで、写真展で展示された写真を観ていて某かの印象があり『あ、このトークショー、行ってみたい。』と思った訳ではなかったんですね。(しつこいですが)私の関心の全てはこの『螺旋海岸』と言うタイトルのネーミングに尽きる、と言う感じでしたが、この造語には何か言い様のない秀逸なものと心を引き寄せる何かを感じてたんですね。タイトルについて、トークショーの中で彼女は、『螺旋階段を造りたくて、人に相談したら、物凄く難しいと言う事が判り、途方にくれて北釜の海岸に寝転んでいたら、そこらじゅうに生えている松の木が下から見上げるとまるで、螺旋階段のようだった。なので、この海岸は螺旋階段がたくさんある海岸で、だから”螺旋海岸”だと思った。』と語っていましたが、この想像力の膨らみ方の方向と言うか、不思議な飛躍と言うか、はすごいなーと思いました。何と言うこともないエピソードが発端でこの如何にも意味あり気な言葉を作り出し、それを写真展を象徴するタイトルにまで押し上げて(造りこんで)、それを据えてしまう。 ある意味迷いの無いというか、自分の世界に対する揺るぎない『思い込み』の強さ、というか、そんなモノを感じました。(観てはいないので、何とも言えませんが)、メディアテークでの写真展もそんな内容だったようです。

VACANT
「螺旋海岸 | notebook」「螺旋海岸 | album」刊行記念
志賀理江子トークイベント



さて、トークショーですが、物凄い濃厚なトークでした。志賀さん本人は客席の反応などを見ながらインタラクティブにやりたいと言いつつ始まったのですが、結果、2時間弱、何かが降りてきて彼女に何かを語らせているような雰囲気で、(正直)まとまりはあまりないのですが、とにかく淀みなく話し、自分の中の未解決な部分や未消化な事とかをあれよあれよと言う間に曝け出し、『どうだ!』と言う感じの話し倒しの感じでした。 何となくですが、自分の感受性を自分で持て余してしまっている印象を受けました。志賀さんの持っている未消化で未解決な部分(大部分)が彼女の生きていく旅ならば、さぞかし生きづらい人生なのかな、などと、余計なお世話の印象を持ちました。 またその難解な彼女の語り口を彼女のファンの人々は一生懸命解ろうと、汲み取ろうとするのです。 何だか痛々しかった。
ご存知の通り、2009年頃から志賀理江子は度々宮城県の北釜を訪れて、その土地に魅せられてそこでの生活に自分を投入し、集落の行事の撮影や年寄りの伝承を記録していくといった作業に没頭するようになります。期せずして先の東日本大震災で壊滅的なダメージを受けてしまった土地ではありますが、この頃の志賀理江子始め、周囲の人たちは勿論、やがて訪れる大惨事を知る由もありませんでした。螺旋海岸は東日本大震災への鎮魂と言う意味合いではない、とトーク中にも言っていましたが、写真家として、フィールドワークに入ったその土地が向かえる事になる大きなこの出来事を当事者として体験する事が出来たのは、ある意味千載一遇の必然的な偶然だったのだと思います。その一連の流れの中に大震災はあった訳で、唐突にその部分だけフォーカスして見て欲しくない、と言うような彼女の意図は理解できます。 ましてや予てからのテーマというか、彼女の追いかけているものが『生と死』それにまつわる矛盾と葛藤というものなので、フィールドワークの果てに訪れた大震災は、余りにも出来すぎの偶然のようになってしまったのかも知れません。
新国立美術館でも4月1日までの展示の「アーティスト・ファイル2013」で、この螺旋海岸のシリーズが展示されるようですが、やっぱりワタシはメディアテークのを観てみないとこのトークショーについては何も解らないな、と思いました。志賀さんは震災の集大成ではないとは言っていましたが、仙台の被災地のあの地の、メディアテークと言う会場で行った独特の展示方法。 スポットを当てないので、夕方になると写真にも影が射しまるで墓標のようだったと聞いています。それを見なければ何を言っても中途半端になってしまう気がしました。

≪関連記事≫
志賀理江子 螺旋海岸: http://www.smt.jp/rasenkaigan/
ART iT 志賀理江子インタビュー イメージに身体が触れる ―架け橋としての歌 :
http://www.art-it.asia/u/admin_interviews/yVsfhQi1o0evIK8nJOD3
Artist File 2013 志賀理江子 : http://artistfile2013.nact.jp/shigalieko/index.html
artscape 考えるテーブル 志賀理江子 連続レクチャー :
http://artscape.jp/report/curator/10016599_1634.html

この写真が 現地の展示で地元の方を始め多くの人から一番反響のあった写真だそうです。 怖い・・・。



56275
[PR]
by sanaegogo | 2013-03-10 00:00 | activity | Comments(0)


<< 「デザインあ展」で・・・。 @... the Future @ Th... >>