the Future @ Theater Image Forum
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ザ・フューチャー the Future
ミランダ・ジュライ 監督/主演 Miranda July
イメージフォーラム Theater Image Forum
http://www.the-future-film.com/MirandaJuly.html

ちょっと前にネットで見て気になっていたこの映画。それから程なくして失念していたのですが、再びネットで見て、俄然見たくなってしまって、思い立って行ってきてしまった。ワタシにぐさっと刺さってきたのは、この映画のイントロダクションに書かれていた 『同棲4年目を迎えた35歳の女性ソフィーと恋人のジェイソン。ある日、2人は怪我をした小さな猫を見つけ、パウパウと名づけて最期を看取ると決める。そのことをきっかけとして2人の心境や生活はゆるやかに変化していく。お互いやりたいことをやろうと、仕事を辞め、インターネットを解約して、自分の内なる声に耳を傾けて生きようと決意する。』と言うこの導入。私自身、もう35歳はとうに過ぎてしまっているし、多分今の生活でネットを解約するなんて事はありえないし、考えてもいない。でも、妙に心に刺さってきたのは、『お互いやりたいことをやろうと、(―飛ばして―)、自分の内なる声に耳を傾けて生きようと決意する。』の、この部分。 そう、やりたい事をやろう。 自分の心の声に正直に生きよう。 と、ここまで程"自由へのはばたき"的で"何もかも振り捨てて"感はないものの、これから先は自分のやりたい事をやっていこう、と少なからず決心した経緯もあっての事だったと思います。自分自身、まさに本編で言うところの「始まりの途中」に立った、と言う状況です。そんな訳で、この一文で得られる情報しか持たず劇場に向った私でしたが、ストーリーは想像していたものとは若干異なったものでした。 「あり」か「なし」か、と問われれば、「あり」でしょう。全編に流れる緩やかなトーンは好きな感じのストーリーです。ファンタジー的な要素がありつつも、リアリティー溢れる作品です。 リアリティーのあるファンタジーとも言えます。
(ここからは、みてない人にはネタバレかも、です。)
パウパウを引き取るまでの30日間、ソフィーとジェイソンは、猫を飼い始めると色々と束縛が生じるのでそれまでにやりたい事をやろう(済ませておこう)と決め、仕事を放り投げ、ネットを解約し、それぞれの行動を起こそうとします。 そんな中で、2人の些細な事からの諍い、心のすれ違い、近くに居るのにお互いが見えなくなってしまうような孤独感、そんなものが襲ってきたりしますが、すこしずつ解り合って、いたわり合って距離を縮め、今まで知らなかったお互いの部分を発見したり、見直したりもしながら、互いに大切な存在であると再確認し、そうこうしている内にパウパウを引き取る日が訪れ、猫が居ようと居まいと束縛される事はなにもないのだ、束縛とは互いの意識の中にあって、状況の中にあるのではないのだ、と気付かされる・・・・、みたいなストーリーだと思ってましたが、そうではありませんでした。 やりたい事をやる、とか、自分の内なる声に耳を傾けて生きる、と言うのはある意味何かからの自立(自律)だと思うのですが、主人公ソフィーはどうもこの手のメンタリティーと言うか覚悟がなかったようで、何故だか、自由な状況を避けるようにジェイソンではない男性の許へ逃げ込んでしまいます。(ジェイソンのようなある種の柔軟性も持ち合わせていなかったのかも知れません。) 「君は最初の印象と何だか違うね。もっと自立した人のように感じていた。」と言うようなセリフをその男に言われるソフィーですが、そんなソフィーを責めるとかだらしない(←淫らと言う意味ではなく)と呆れる事は出来ない気がします。 それでもそれが等身大の35歳と言うものなのかも知れないし、迷いなのかも知れないし、人はそうそう信念にそって強く生きれるもんでもないような気もします。 一方ジェイソンは、また違う気付きをします。 自分達の人生は残り少ないどころか、まだ始まってもいない。 自分はまだ何かを始めてもいないのだ、と。それが「始まりの途中」です。これ(この感じ方の違い)って単純に男女差とかによるものなのでしょうかね。興味深いところです。 結局は、ソフィーも男の許を出て再びジェイソンの許に立ち寄る事になるのですが、止まった時を自らの意志で動かしたジェイソン、自分の心の声を聞きジェイソンのところへ戻るソフィー。 でも、結局はパウパウを助けられなかったのが、私にとっては結構衝撃でした。(そう来たか!そう来てしまったか!) 物語は時としてパウパウの眼線で語られていて、そして、パウパウは何の心配もない世界に行ってしまい、そこで語りかけるのです。 「もう待たなくてもいいし、もう猫ですらない世界にいます。」 パウパウとの生活は始まりませんでした。 2人が予想していた「束縛」はもうそこにはなくて、あの時日常だったものですら実は危ういもので、いつまでも続く保証なんてなかったと言う事を2人が実感するのはこれからなんでしょう。何もしないでただ流れていくだけの時間なんてものはないのです。放っといても時間が流れてしまうこと自体凄い事なのに、何も無い様で何かが変化しているのに気づけないだけなんです。
観終わって何か明確な答えを出すような映画ではなく、メッセージもちらちらと見え隠れしているだけでずばんと全面に出て来る訳でもなく、おせっかいな激励ちっくなところがない分、観終わってももやもやが続くようなストーリー。私は結構好きです。

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by sanaegogo | 2013-03-03 00:01 | movie | Comments(0)


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