JR展 Could art change the world? @watari-um
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JR展
世界はアートで変わっていく
Could art change the world?
(ワタリウム美術館)
2013 年2月10日(日)-2013年6月2日(日)
11時より19時まで[毎週水曜日は21時まで延長]
主催 ワタリウム美術館
助成 在日フランス大使館 アンスティチュ・フランセ

これは、一介の街角の落書き小僧から出発したグラフィティーアーティスト フランス人のJRの(日本、アジアではなく)世界初の個展です。そして、ワタリウムとしては、昨年よりスタートした震災後の展覧会三部作の最終章です。
JR(ジェイアール)(1983年生まれ)は、フランス出身のアーティストで、ある日パリのメトロで拾った1台の28mmのカメラを用いて自分自身や他のグラフィティ・アーティスト達の行為を記録し始めると言うところから自分自身の制作活動を始めています。そうして撮影した写真を街角の壁にゲリラ的に貼り付け、街角のストリートを『歩道ギャラリー』と銘打って発表を続けてきました。 それは単に自分自身のメッセージを他に知らしめるという自己顕示欲からではなく、世界中のストリートに誰でもアクセスできるギャラリーを作り、そこに新しい交流が生まれる事を期待してのことです。それは、自分の存在を知ってもらいたいと言う犬のマーキングのような行為ではなく、ある意味、世の中に対しての問題提起とも言えるものです。『自分は仕掛け人』と言う意識からでしょうか、彼自身も自分の名前を『JR』と言う匿名的なものにしていて、会場で流れていたムービーの中のJRは、街角で夜に紛れて自分の写真を大伸ばしにして、糊でべたべたと壁に貼りまくり、スプレーで落書きも施すのですが、顔は目隠し処理されていて、よくあるTVの裏社会で生きる人にインタビューしたり、容認できないような行為をして街をウロつく若者をあつかったドキュメンタリーもののような様相を呈していました。 街への落書き行為は決して誉められたものではないのですが、それを意味あるプロジェクトにまで昇華させて、2011年には「世界を変えるアイデア」に授与される「TEDプライズ」を受賞しているのは、偏に彼の真摯な信念を持った取り組みの姿勢とプロデュース力だと思います。展覧会としては、第54回ヴィネチア・ビエンナーレ(2007年)、「時代の肖像展」(テート・モダン、2008年)、「パリ・デリー・ボンベイ展」(ポンピドゥー・センター、2011年)と言った錚々たる展覧会に参加していますが、個展はこれが始めて。これは、この展覧会に先駆けて、2012年11月に気仙沼から福島まで東北の被災地を巡り行った「インサイドアウト」計画が遂行された事による縁なのでしょう。
展覧会の構成は、彼の活動を時系列で追っていて、
  • Beginings  始まり
  • Portrait of a Generation  ある世代のポートレイト
  • Face2face  向き合って
  • Women are heroes  女性たちはヒーロー
  • Inside Out インサイドアウト・プロジェクト
と続きます。
どれも本当にエキサイティングで面白いのですが、『Women are heroes  女性たちはヒーロー』の映像作品がすごくよかったです。 あと、大伸ばしにした粗さが作り出す写真とドットの感じ。 あれがJRって感じですかね。 今回、会場で自分の写真を撮ってもらえるのですが、近くにいた大学生(?)のグループが、自分の写真をめいめい持って記念写真を撮ったりしていたのですが、写ってる顔もそれを持って笑っている本人達も、みんなイイ顔してたなー。
『世界各地で弾圧や貧困、差別のもとで暮らす人々を撮影し、それを現地の人たちと壁に貼る活動』 それ全てがJRの作品であるという事は、いかにも『現在』らしく『現在進行形』らしいです。 かつては、美術作品の墓場と言われた事もある美術館ですが、狭いギャラリーを飛び出し、スラム街の裏路地をギャラリーにして生まれた作品(プロジェクト)が、またギャラリー(美術館)に凱旋するのは、何かがループしているようでちょっと面白い感じではないですか。 ワタリウムにいて、何となくインターネットをブラウズしているような不思議な気分にもなりました。 リアルな空間もサイバーな空間も飛び越えて、忽然と顕れる人々のプロフィール。 そのテンポも小気味好い感じです。



INSIDE OUT PROJECT:
http://www.insideoutproject.net/


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by sanaegogo | 2013-03-03 00:00 | art | Comments(0)


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