PHOTOGRAPHY@表参道ヒルズ Vol.1 Ken Miller×幅允孝 トークショウ
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今、原宿の表参道ヒルズで『PHOTOGRAPHY』、やってます。 1月12日(土)から始まりました。 これは、新進気鋭の話題の写真家やこれまでも時代を牽引し多くのファンにインパクトを与え続けている重鎮の写真家によって、FUJIFILMデジタルカメラ「Xシリーズ」でこの写真展のために撮り下ろされた作品が一堂に会する写真展です。写真家のラインナップは、ウィリアム・エグルストン(1939-)、スティーブン・ショア(1947-)、ナン・ゴールディン(1953-)、マーティン・パー(1952-)、テリー・リチャードソン(1965-)、ライアン・マッギンレー(1977-)の6名。今回参加した写真家は、作品としてのカラー写真を世の中に知らしめた写真家だったり、デジタル世代を魅了してやまない若手フォトグラファーだったり、その豪華さは必見だろうと思います。 以前、GRで芸能人やタレントさんにカメラを渡して撮ってもらう、なんてのをやってたと思いますが、そんなものとは比べ物にならない程豪華な陣営です。これらの写真家をチョイスしたキュレーターは、ケン・ミラーさん。ニューヨークを拠点に活躍している(キュレーターと言うよりは)エディター/ライターの方。かつて東京のサブカルチャーを扱った伝説的雑誌『TOKION』では2002年から2007年まで編集長を務めていたそうです。この他に日本では、2009年『SHOOT ―Photography of the Moment』(Rizzoli)を出版。出版を記念して、写真集に掲載されている26名のフォトグラファーを集めた展覧をPARCO Factoryで開催しました。2011年11月には、ケン・ミラーが当時最も注目していたフォトグラファー4名(マルセロ・ゴメス、マリア・ロバートソン、サム・フォールズ、小山泰介)のアブストラクト・フォトを展示した『PICTURE』が南青山で開催され、今回で3回目。これらの展覧会でキュレーションを行っています。そんなケン・ミラー氏をゲストとして、トークショーが行われました。

PHOTOGRAPHY
■場所:表参道ヒルズ 本館B3F スペース オー
■日時:2013年1月12日(土)~1月27(日) 11:00~20:00 
http://imaonline.jp/ud/exhibition/50bca6306a8d1e34d8000001
■関連イベント: Ken Miller×幅允孝 トークショウ (1月12日13:30~14:30)

キュレーションと言っても、所謂『キュレーション』と言うのとは少し違って、ケン・ミラー氏がその華麗なる人脈を辿って、6名の写真家をセレクト。(伝手や繋がりが無く、正式にプロポーザルを送ったのはマーティン・パーだけだそうです。) その6名のフォトグラファーが6ヶ月の間思い思いに撮影を行って送って遣した写真を展示したものなので、所謂、キュレーターの構想とかテーマなどはそこには関与していないようです。特にウィリアム・エグルストンなどは、何をお願いしても、自分が気が乗らないとダメだし、ウィリアム・エグルストンとして自由にやる人なのでその様に依頼した、と言っていました。なので、それぞれのフォトグラファーの個性を前面にクローズアップしある意味競わせている内容になっていて、ケン・ミラー自身が今回のために構築した何らかの世界観に基づいて写真をもセレクトした、と言う作業は介在しておらず、キュレーターと言うよりはむしろコーディネーターとかファシリテーターとか言う方が近いような気もします。とは言え、これだけの6名にカメラを渡して写真を撮ってもらう事を承諾してもらえたのは、華麗なる人脈と言わざるを得ない感じです。ライアン・マッギンレーとは個人的に友人で、エグルストンの息子とも親交があると言っていました。トークの進行役をしていた幅允孝さんは、青山ブックセンターで建築・デザイン書のバイヤーを経て、編集者になった方で選書集団・BACH(バッハ)を設立し、今では選書家、ブック・ディレクター、編集者、執筆家として活躍している方で、その活動は、企画、ディストリビューションなど、本をツールに幅広い分野に及んでいます。で、かなり英語も堪能とお見受けし、それが話の盛り上がりを大いに助けていたという感じです。ケン・ミラー自身のこと、それぞれのフォトグラファーについてのこと、今回のプロジェクトのオファーの方法、各フォトグラファーのそれについての反応、データのやり取りの裏話やデジタルとフィルムに共通したフィジカルな写真としての意味付けなど、幅さんのトークのリードはとてもスムースな流れがあり、結果とても話が弾んだ1時間で、終了時間をとうに過ぎてもまだ話し足りない、聞き足りない、と言った余韻が残ったトークショーでした。キュレーターとして誰に最初に依頼するか非常に気を遣うと言う苦労(?)話やナン・ゴールディンが『ライアンが承諾して出すなら私もやる』と言ってきて、そこには少なからずフォトグラファー同士の競争心のようなものがあるようだ、と言うエピソードは、自分の表現を一途に追及しているような人物にもそこに何か人間臭さを垣間見る事が出来て興味深いものがありました。(へー、意外に意識しあったりしてるんだ。) エグルストンがデジタルの機材を使って撮影するのがこれが初めてだったけど、かなり楽しんでもらえたようだ、など、それぞれのフォトグラファーの人間像や日常の姿勢みたいな話をみんな聞きたがっていたようです。スティーブン・ショアが毎日写真を撮影するというのをずっと続けていると言う話は聞いた事がありますが、それがミラー氏が表現するところの”book”と言う形態だったと言うのにはビックリしました。(ショアは1947年生まれの66歳。どんだけバイタリティーがあるんだ!と。) あと、この手のトークショーでよく語られるトピックですが、デジタルの功罪、ローテクながらフィルムの優秀さや素晴らしさ、などについても触れていました。 と言っても、正確に言うとよくあるデジタルVSフィルムと言う図式ではなくて、ミラー氏が言うには、デジタル化が進み(エグルストンも自分の写真をスキャンしてJPGで送って来るし)誰でも簡単にwebなどでブラウズが出来るようになったけれど、パブリックなwebと言うツールで写真を観るのと写真展を会場まで観に来たり、オリジナルプリントを購入してプライベートに飾ったり、写真集を所有し手許に置いて眺めるのでは全然違う、と言っていましたが、同感です。また、今回同じXシリーズで撮影したにも関わらず、エグスルトンはエグルストンらしい、ショアはショアらしい、マーティン・パーはマーティン・パーらしい内容になったと言う事は、ある意味昨今のデジタルは撮影者の個性を汲み取る力量が充分にある、という事の証明でもあるのだと思います。(尤もこれをFUJIFILMとしては狙っていたのだと思いますが。) 先に、ケン・ミラー氏のキュレーションはテーマや世界の構築に基づいたものではないようだ、と述べましたが、そこにはそれぞれの写真を写真として観て感じて欲しい、と言う意図があり、なので、自身が創る写真展は『SHOOT』、『PICTURE』、(今回の『PHOTOGRAPHY』も然り)、というようにシンプルなタイトルにしている、と言っていたことも付け加えておきます。

『TOIKION』と言う雑誌に興味をもったので、ちょっと調べてみました。 バックナンバーはこんな感じです。


『PHOTOGRAPHY』のレビューはまた次の機会に・・・・・。

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by sanaegogo | 2013-01-12 00:00 | activity | Comments(0)


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