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安村 崇 「1/1」


安村 崇を観に行って来ました。と言っても、ちょっと前のハナシになってしまい、今日でお終いになってしまいますが・・・・。 JR大塚駅にあるMISAKO & ROSENです。


安村 崇 「1/1」
2012年5月13日(日) - 6月10日(日)
MISAKO & ROSEN


日常どこにでもある風景にぐっと寄ってフォーカスし、構成をより抽象化して観る人に不思議な感覚を与えています。『単純化して複雑化させる』とでも言うのでしょうか。 その切り取った世界が単純で情報量が少なくなる程に、そこに顕されているものを読み解こうとする行為に複雑さが増していくのだと思います。 単純であるからこそ、そのテクスチャにもとても目が行きます。 色彩、素材の質感、全体の中の仔細な一部分。並べられている数点の写真はどれもまるでポスターカラーで塗った様な質感で、(マスキングテープとポスターカラーで描いた画のようです)、あの、紙の上に乗って吸い込まれていかないポスターカラーの顔料のような質感もプリントで表現できるものなのか、と驚きました。プリント以前にその質感を写真に納めているんですよね。これはやっぱり光やカメラの機能がちゃんと解っている撮影技術も卓越した人なのだな、と察する事が出来ます。「眼前の世界を写したはずなのに、写真にしたら何か別の世界が見えそうな場所を探した」と、安村崇は今回の個展の写真について語っています。例えばポスターカラーで何か画を描く時には、水彩のように水で溶いた濃淡では画面は表現できないのですが、MISAKO & ROSENのwebsiteで、安村崇は「画面から思わせぶりな奥行きは消え去り、それを追う視線は表面に留まる。」とコメントしています。『奥行きは消え去り、表面に留まる』 なんとも意味深な、いえ、意味が深いコメントだと思います。
理屈はともあれ、好きか嫌いかと問われれば、ワタシは『好き』。そして、こんな世界を探し回ってみたいな、と思います。 色彩があり、テクスチャがあり、構成がある。見慣れたものの中に多様な文脈を探し出すような、そんな感じです。

2008 安村崇/江口悟 「Things in a place」
200? 「せめて惑星らしく」
200? 「自然をなぞる」
2005 写真集「日常らしさ」
1999 第8回キャノン写真新世紀 グランプリ受賞

『せめて惑星らしく』『「自然」をなぞる』『日常らしさ』はこちらで見ることが出来ます。『「自然」をなぞる』はそのユーモラスさが何とも良いではありませんか。
http://takashiyasumura.com/site/Japanese_.html

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by sanaegogo | 2012-05-28 00:00 | art


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