ダミアン・ハースト New Spot Prints @渋谷ヒカリエ


Damien Hirst 「New Spot Prints」
2012年4月26日(木)~5月28日(月)
渋谷ヒカリエ 8/ 03 ART GALLERY (TOMIO KOYAMA GALLERY)

渋谷ヒカリエの8階「8/」のArt Galleryでダミアン・ハーストの展示が観られるのは既にご存知のはず。 Creative Space 8/ (Hachi) と言うスペースの 03、小山登美夫ギャラリーで開催されている、イギリスを代表する現代美術家ダミアン・ハーストの個展『New Spot Prints』です。ダミアン・ハーストと言えば、1995年にターナー賞を受賞した、母牛と子牛を縦に真っ二つに切断してホルマリン漬けにした作品 "Mother and Child, Divided"が有名ですが、今回はカラフルなドットの織り成すペイントの平面作品で、これもハーストが以前から手がけていたシリーズのひとつです。 規則的に並んだドット達はある合理的なシステムに基づいていて、無限に広がり関係しあう相互作用をテーマとして作成されています。一見するとカラフルでポップで、楽しげな様子なのですが、これらは全て化学物質や薬物などケミカルなものの名前が作品名につけられていて、少なからず、深刻な薬物中毒とアルコール依存症に陥っていたダミアン・ハーストのダークサイドに関係していると言えます。 この作品の見た目の可愛らしさに惹かれてこのNew Spotを壁に飾る事になったとしても、そこには常にダミアン・ハーストのダークサイドが横たわっていて、それを知ると愕然とするかも知れません。所有する人はやはりそこまで作品の意味を知ったうえで鑑賞した方が、より深くこの作品を味わえるのだと思います。作品の見た目とは裏腹な作品の持つ真の意味合い。これがコンテンポラリー作品の醍醐味であると言えるし、ダミアン・ハーストのシニカルさなのかも知れません。
ダミアン・ハーストのこれまでの作品とは、"Natural History"という死んだサメ・牛・羊などをホルムアルデビドで保存したシリーズや、先にも述べた"Mother and Child, Divided"など死骸や薬剤を使用して生と死を直視して直接的に表現した作品が多くあります。ここで使用されている保存のための薬剤もそうだし、New Spot Printsの象徴しているケミカルもそうだし、死体、死骸、薬剤や化学的処理などダミアン・ハーストの題材は一貫していて、死んだまま生かす、と言ったようなアプローチで制作を続けています。 もうひとつ有名な彼の作品として、『神の愛のために(For The Love Of God)』(2007) があります。これは18世紀の頭がい骨をかたどったプラチナに、8601個のダイヤモンドを敷き詰めた作品で、「ダイヤモンドの配置は倫理的な原則に基づいている」と作品について語っています。正直言って個人的にはこれはハーストらしくないような。確かにダイヤモンドは鉱物のひとつだし、太古からの石の死骸のようなものと言えばそうなのだけど、これは何故か、ただの虚飾に陥った作品と言うような気がして、例えアステカ族の滅亡みたいなものと結び付けたとしても、今までの作品のような残酷なまでのストレートさに欠けるような気がするのは私だけでしょうか。よってそのストレートさの裏に潜んでいる彼特有のどろどろとした理屈があまり見えてこない気がします。

ところで、因みにですが、このヒカリエ8階の 8/ と言うスペース、なかなか面白い感じでした。『六本木や、銀座や、青山にはできそうもない現象をつくるために生まれたスペース』とのことですが、8つに分かれたスペースはそれぞれにクリエティビティを訪れる人に提供しています。今後がどうなって行くのか、楽しみですね。
Creative Space 8/ (Hachi): http://www.hikarie8.com/about/

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by sanaegogo | 2012-05-25 00:00 | art | Comments(0)


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