写真家 石川直樹、小笠原諸島を語る


この亀の写真を見て、改めて、『そうだ、石川直樹は北の寒いところに行く人でもあるけど、南の暑いところに行く人でもあったんだ・・・・・。』と思い、その写真の素敵さに見入ってしまいました。いずれにしても、遠くまで行く人、と言う事には変わりはないのですが、ここのところエベレスト登頂があったりで、雪山のローコントラストな写真が多かったのですが、この亀の写真を見て、彼は山ばかりではなく海にも飛び出し、泳いだり潜ったり、熱帯雨林に分け入ったり、カヌーを漕いで海を渡っていた人なのだ、と改めて感じましたね。この亀の写真、本当に好きです。これは(当たり前ですが)ペイント(絵画)ではないので自分で絵の具の色を選んだりするのではないのですが、この写真で映し出されている色彩が全て自然に生まれているものだと考えると、本当に素晴らしい・・・・、と思います。




と言う訳で、

EVENT|レクチャーシリーズ「The Seven Continents」第3弾
写真家 石川直樹、小笠原諸島を語る
2012年1月17日(金)
アート&カフェスペース『VACANT(ヴァカント)』
http://openers.jp/culture/tips_event/thesevencontinents_120213.html?rp=fb


に行って来ました。
これはTOO MUCH magazineが「The Seven Continents」と銘打って行っているレクチャーシリーズの第3弾で、今回はゲストとして前田司郎氏(劇団「五反田団」主宰)を迎えて行われたもの。因みに第1弾はエベレスト、第2弾はブータンでした。どの回でも石川さんがそれぞれのレクチャーのために作成したzineがもらえます。
ゲストの前田司郎氏と石川直樹さんの出会いは、前田さんが『前田さんにそっくりな人がいるんで是非紹介したい。』と石川直樹さんを紹介されたのが馴初め(?)と言う面白エピソードも話題にされていましたが、同世代との掛け合いトークという事で、石川さんは何となくいつもよりリラックスした感じで、等身大な感じだったように思います。個人的には石川直樹の話をもう少し多い分量で聴きたい気がしていたのですが、zineの中でも、トークの中でも何度も語られているように、小笠原は文化的、民族的な歴史や特徴があまりなく、ニュートラルで『とっかかり』が少ない場所だ、と余り話が膨らまない様子でした。トークショーのその講演者の席に座っているにも関わらず、『自分の小笠原の話だけで1時間半もたせる事が出来るのか、疑問。』と飄々と述べてしまうのは、何とも彼らしいと思います。多分、取材に行って、皆が期待している沖縄や台湾のような独特な民族性が見受けられなかったと言うのがあるのだと思うけど、なる程、例えば前回聴きに行った『アーキペラゴ』のトークショーとかと比べると、あの時のようにスライドを繰りながら次から次へと話したい事が出てくる、と言う感じではなかったようです。知らなかったんですが、小笠原は日本人が本土から移民しただけではなく、アメリカやハワイやミクロネシアからの移民も多くいるらしく、外国の方のお顔の名残がある日本名の住民とかもいると言う事です。もともとずっと島に暮らしている人が続いていないので、そこ本来のアニミズム的なものはない、と言っていました。きっと人類学、民俗学的なところでは、あまり面白くない事がわかった、と言うのが本音なのでしょうね、きっと。
それよりも、石川直樹さん自身が高校生の時に訪れた時の小笠原の話をするときの、あの弾むような感じが印象的でした。映画『グランブルー(Le Grand Bleu)』に感化されてイルカと一緒に泳いでみたくて、尼さんに弟子入りして素潜りの特訓をして小笠原に出かけたそうです。(ワタシも当時シネセゾンに観に行きましたよー。すっかり感化されて『イルカと、海へ還る日』を夢中で読んだりしました。) その時、「潜ルンです」で撮影したイルカ数頭が石川さんを追い越して尾びれをハタメカセながら消えていく写真を見せてくれました。画像は荒く劣化してましたけど、その写真も素敵だった。トークショーの中で見せてくれた写真の中では、前のウミガメの写真と、その高校生の時撮ったイルカの写真が一番よかった。10年以上前の事なので島に上がっても当時の記憶は殆どない、と本人は言っていましたが、「小笠原」と言われてこんな古い一枚の写真を出してくるなんて、その時のイメージは、感覚は、高校生だった石川さんに鮮烈に焼き付けられているんでしょうね。その頃の事、もっと聴きたかったかな。

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by sanaegogo | 2012-02-17 00:00 | art | Comments(0)


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