コズミック・トラベラーズ - 未知への旅


「コズミック・トラベラーズ - 未知への旅」
"Cosmic Travelers - Toward the Unknown"
Espace Louis Vuitton Tokyo
until Mon. 6 May, 2012

エスパス ルイ・ヴィトン東京で行われているコンテンポラリーの展示。原口典之、佐藤允、塩保朋子、高木正勝、渡辺豪の5人のグループ展と言う事ですが、何とも豪華な「グループ」だとは思いませんか。 そして、キュレーションは西沢碧梨です。何でもこのエスパスで行われたエキシビションで日本人のアーティストによるものは初めてで、ルイ・ヴィトンの日本のコンテンポラリー分野に対する理解と賞賛を表したものだそうです。思い起こせば、村上隆が衝撃的に登場したのが2003年なので、ヴィトンと日本のコンテンポラリーアートのお付き合いはもう10年弱にもなろうとしてるようです。

まず、エスパス。展示スペースはガラス張りで、自然の日光、太陽の光がふんだんに取り入れられている。この展示スペースに展示してある原口典之、佐藤允、塩保朋子らの作品は、その自然光が意識されていて充分にその作品を演出する要素のひとつとなってました。ペイントの作品は自然光があると色が飛んだり、光の当て方によって意図する色と違う風になってしまう事があるので、光が強い展示室は苦手なものなのだけど、佐藤允のドローイングはシンプルかつ精緻な画面が光溢れる展示室によくマッチしてました。描きかけの画は、ライブで完成作業が見られるようです。



そう言う意味では、塩保朋子の作品も光を上手く取り入れた美しい作品でした。これもまた仔細に切り抜かれた作品で、8mはあるだろう天井高一杯に吊られている白い帯。何か厳かなものが空気に巻き上がっているような、沸きあがってくるようなイメージは圧巻で、多分訪れる時間によって天井や周囲の壁などに落ちた影が微妙に変化するのが観られるのだと思います。



展示室の中央に配置されているのは、原口典之のTriadシリーズで3点からなるインスタレーション。開放的なガラス張りの壁面に配置されたふたつのオブジェと展示室とその空まで取り込んでしまうようなぽっかりと空いた穴、の作品。この穴には黒いオイルが満たされていて、そこに写りこんでいる他の作品や建物の外の風景などの世界観がとても面白い。じっと覗き込んでいると、まるでもうひとつのセットがその中に仕込まれているような錯覚さえ覚えます。



この3人の作品は、この展示室の光の効果をそれぞれのやり方で巧妙に捉えています。
それに対して、渡辺豪のアニメーションは光を全く遮断した真っ暗な部屋で繰り広げられています。日常使用されているなんと言うことのない磁器がばらばらになり再編成されていく様子を淡々と表したものですが、崩壊と再編成が秩序立てて進んでいくその様子に見入ってしまいます。その部屋は本当に暗く、スクリーンに映し出される磁器の青白い輝きだけが唯一の光なのです。



実は、ワタシはこれを2回観に行っていて、その理由は、この展示室に高木正勝の映像インスタレーションは展示されていないのですが、それに気づかず、『あれはどこだ?』となった時には時間切れで、1階のショップの置くにひとつだけサテライト的に置かれている彼の「Anyura」と言うアニメーションを観るために、後日もう一度訪れたのです。
高木正勝自身が子供の頃に描いた画を題材に、ほとばしるように展開するそのアニメーションは、これもまた光の粒、色彩が楽しげに踊る作品でした。短いものではありましたが、堪能してきました。あれを売り場のフロアに置いてしまうのはもったいない、と思う反面、誰しもがアクセスできるあの場所に置かれている事の贅沢さも同時に感じました。温かみがあって、子供の心を垣間見れるような楽しいさがあります。そしてやっぱり、とても美しい・・・・。贅沢ですね。



『Cosmicとは、一般的には「宇宙」を意味しますが、その他にも、無限大や無制限、開放的など様々なものを指しています。比喩的な表現として使う場合、Cosmicとは、繋がりが拡大していく状態のことを言い、Cosmic Travelersとなると、「五感や直観、感情、そして思考を伴う肉体と精神の旅をする者」を意味します。その場合、私たち人間は皆、生きることの意味と真実を模索しながら時空を行き来するCosmic Travelersだと言えるでしょう。』
― エキシビション公式ホームページより引用
『光』にインスパイアされて作品を構成し、この空間の特性を巧みに反映させているこの展示。アドミッションはフリーなので、時間を変えて何度も観に行ってみると面白いかもしれません。

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by sanaegogo | 2012-02-03 00:00 | art | Comments(0)


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