ホンマタカシ ニュー・ドキュメンタリー

ホンマタカシ ニュー・ドキュメンタリー
東京オペラシティー アートギャラリー
2011年4月9日(土) ― 6月26日(日)
http://www.operacity.jp/ag/exh129/
http://www.asahi.com/event/homma/

楽しい、そして何だか少し考えさせられ、気持ちが少しざわざわするような感覚で観終えた写真展だった。ホンマタカシさんは、言わずと知れたコンテンポラリーの写真家であり、そのバックグラウンドは藝大卒であったりするアカデミックな芸術家的側面とか、木村伊兵衛賞を受賞した正統派写真家の側面であったりとか、超老舗の広告代理店に勤務経験があるアドマンであったりとか、モード誌のゴージャスなモデルを撮影するスタジオカメラマンであったりとか、今は大学院の客員教授をしているようなマルチな人で、コンテンポラリーの美術家として名を馳せているけれど、巨匠と言う近寄り難い雰囲気も(多分)なく、その作品はとてもシンプルで、この写真展は是非観てみたかったのだ。

ニュー・ドキュメンタリーと言うテーマは、聞いた時、始めは、何かな? と思ったものの、観終わってみてその意図が判ったような気がした。ドキュメンタリーのようで、ドキュメンタリーでない、とも言い切れず、ドキュメンタリーかも知れない・・・・、のような空気感をファウンド・フォトの手法を織り交ぜながら醸し出していく。詳細なレビューはプロの方が(ネットや雑誌の)色々なところで原稿を寄せているので、そちらを読んでいただいた方が良いと思うけど、人の家の家族写真を、見知らぬ人の思い出の写真を、その中から展示されている写真達を選び出すその行為がホンマの写真作家としての表現であり、「撮影」とはまた異なった写真家としての仕事なのだ。当たり前の事だけど、写真展が1枚の秀逸な写真の集合体として成り立っているのではなくて、複数枚を並べて、展開させて何かを問う、何かを顕す、事で成立するのだー、と言う事を目の当たりにした感じ。ピックアップする嗅覚をお持ちなんだよねー。何気ない風景が、何と言うことも無い子供の所作を写した写真が、ホンマに選ばれ並べられていく事により魅力的な光を放つようになる、フィクションか? ドキュメンタリーか? どちらともとれる光景をフィールドワークと言う架空ではない条件の中で意味有り気に撮影し展示する。既にある写真をなぞる様に撮影し直す、とか、面白いなーと思いましたねー。(折しも夏に予定されている作品研究会の発表会に出す写真をいままでのものの中から選ぶ作業をしているワタシ。自分としてはすごくタイムリーな感じでわくわくした。)

とは言え、ヒトコト。これが写真展として、作品群として成り立つのは、やはり、ホンマタカシと言う人の学術的裏打ちのあるバックグラウンドとフィールドを限定しない精力的なアウトプット、つまりこれまでの彼の実績があるからこそ、成り立つものなのだ、と言う事はひしひしと感じられる。(あ、否定的な意味ではなくね。) 遅筆なワタシには珍しく、会期はまだたっぷりあるし。(長いからね。) 小難しい事は忘れて自然体で観るととっても面白い不思議な写真展だと思う。是非。


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by sanaegogo | 2011-05-03 00:00 | art | Comments(0)


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