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ハービー・山口 写真展 「1970年、二十歳の憧憬」


ハービー・山口さんの写真展『ハービー・山口 写真展 「1970年、二十歳の憧憬」』を観に行ったら、その会場にまたハービー氏ご自身がいました。来場する人々に自ら話かけて、感想や『どの写真が好きでした?』なんて質問をされていました。勿論その人が誰か判る来場者は積極的に自分から話しかけ、ハービー氏は片時もカメラを離さず、時にはハービー氏から『写真撮らせください。』なんて、会場内でのスナップ写真なんても撮っていたりしました。気さくな方なんですね。どうやらこれが氏のスタイルらしく、前回Instyle Photography Centerでお見かけした時、「今日はお越しいただいてありがとうございました。」と話しかけてくれたのも、運命の(?)エンカウンターだった訳ではなく、ワタシの『幸せな誤解』は見事に粉砕した感じです。それでもまぁ、このお人柄を知る事の出来るエピソードは、改めてファンになるのに充分な感じではありました。
写真はアマチュア時代のネガがご夫人の実家の倉庫から発掘されたことがきっかけだったそうですが、アマチュア時代にはこんな写真展を開催する術はなかった訳で、でもその頃の写真も人を惹きつけるには充分魅力的であって、世の中に認められた今、またその時代を振り返って発表するに遜色のないものだと思います。やはりこう言うのは、なるべくしてなったと言うか、片鱗と言うのはその人に自ずと備わったものなんですね。
朝日新聞で取り上げられた時の記事が置いてあって、拝読すると幼少期は高校生くらいまで大病を患っておられたようです。そんな不遇な昔のことも淡々と曝け出して、作品を通して自分探しの旅に出て、個展が開催される今となっても、観に来てくれる人々と自ら進んでコミュニケーションを求める。そんなハービー氏の撮る写真は他者への愛情と言うか相手に寄り添うような慈愛と言うか、そんなものがあるような気がしました。
中国が各所で半日くらい反日デモを開催している今日この頃、安保闘争の頃の写真には眼を惹かれました。日本も当時は今の中国くらい熱いうねった時代の波があったんですね。青山通りをじぐざぐに行進するデモ隊の様子。膝丈スカートにパンプスを履き、ヘルメットに顔を覆う手拭いと言ういでたちの女子大生。時代を感じます。普天間の写真もありました。ハービー氏を含め同世代の人たちが通り過ぎてきたひとつの時代がそこに垣間見ることが出来ました。

ハービー・山口写真展
「1970年、二十歳の憧憬」
2010年9月24日(金)~11月2日(火)
キヤノンギャラリー S(品川)



ハービー氏の「作者メッセージ」も読むことが出来ます。
http://cweb.canon.jp/gallery/archive/herbie-1970/index.html

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by sanaegogo | 2010-10-23 00:00 | art


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