レンピッカ展 ―TAMARA DE LEMPICKA el son epoque―


3月6日に始まったとは知りつつも、行こう行こうと思いつつ、大分話題になっているのでご存知の方も多いかも知れませんが、『レンピッカ展』にやっと行って来ました。彼女の経歴や素性などは公式ウェブサイト上で語られているので、ここでは触れませんが、自らとてもインパクトのある女性像であろうとして、その作品を通して、また自分自身を過度に露出する事によって、一貫したセルフ・プロデュースを通してきた彼女の人間像、その作品は、ジャック・ニコルソン、バーバラ・ストライザント、そしてマドンナや数々のセレブレティーの美術蒐集家を魅了してきました。今回展示してある作品の中にもジャック・ニコルソン蔵の作品などもあったりして、また、その全盛期の画風は、かのマドンナのVOGUE(ヴォーグ)のPVの世界にも色濃く影響を残しています。
Bunkamuraはこう言う展覧会をもっとすればいい、まさにBunkamuraらしい、「ならでは」の展覧会だと思います。公立の美術館ではないのだから、やはり世界の名立たる美術館の巨匠の名画を展示しても、いくら切り口を変えたといっても、それでは無理があるような。何故今レンピッカなのか、キュレーターの方の思い入れを感じるし、ほとんどが個人所有になっているこの作品群のアレンジなどの苦労も垣間見えて、そう言う意味でも観応えのあるレンピッカ展でした。
まず「緑」そして「白」、その重厚なグラデーション、キュビズムを彷彿とさせる力の入った不自然なポーズで画面に溢れんばかりのモデルたちのフォルム。好きな画風である人はもちろん、そうでない人の眼も釘付けにしたに違いありません。作品に力があるとは、まさにこう言う事なんでしょう。生涯を通してのストーリを網羅した内容で、全盛期と低迷期のコントラストの強さにも眼が行きました。人々から忘れ去られる事の悲しさ、寂しさ、苦悩。自己顕示が強い作風だっただけに、その心の機微みたいなものもありました。彼女は晩年復活も遂げています。全く新しく生まれ変わった故の復活ではなく、「再評価」と言う復活ではありますが、足掻き、もがき苦しんだ人生が迎えた安息の晩年だったのだと思います。

作品をいくつか・・・・。


≪緑のヴェール≫
1924年頃

緑色の深さや重厚なベールのドレープの感じがあまり再現されていませんが、これはポストカードをスキャニングした故のことと思います。オリジナルはベルベットのような質感と女性の決め細やかな肌の感じと、しっとりときちんと厚く塗られた口紅がとても印象的です。特徴的なのが、彼女の画の中のこの視線の持って行き方です。雑誌『ヴォーグ』の中のモデルであるとか、往時の映画女優の視線がこんな感じ。当時としてはとてもスタイリッシュなポージングだったのでしょう。



≪初めて聖体を拝領する少女≫
1928年

彼女の娘、キゼットを描いたものですが、白い布の描き方が素晴らしい。解説には『法悦の表情』とありました。『法悦』とは、1 仏の教えを聞き、それを信じることによって心にわく喜び。法喜。2 うっとりとするような喜び。エクスタシー。との事。娘キゼットの中に、宗教的なストイックさと女性としての悦びを同時に映し出したレンピッカらしい作品と言えます。



≪緑の服の少女≫
1930年

彼女の代表作ですが、そう言われるだけの事はあり、インパクトと存在感をはなっていました。これも娘キゼットです。(おそらく)ヘキサチーフをふんだんに使って画の表面を滑らかにしている感じが、油彩画にも関わらずグラフィックデザインのポスターのようにある種幾何学めいた描画に効果を与えている感じです。無理に体を捻じ曲げた力の籠ったポーズ、緊張した指先と眼を剥いた視線。躍動的です。



≪カラーの花束≫
1931年

折しも先日拙ブログにて、カラーの花をアップしました。私の大好きな花でもあり、緑色と白の織り成す茎から花への様子、肉厚な仏炎苞(花びらのような白い苞(ほう)の部分)など、レンピッカが好んだのも頷ける気がします。


レンピッカ展 5月9日までBunkamura ザ・ミュージアムでやってます。(遅筆ゆえ、会期残りわずかです・・・・。)

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by sanaegogo | 2010-04-30 00:00 | art | Comments(0)


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